「母の待つ里」(2)
第三話、最終話。(放映日9/28)
満を持して視聴待機。もちろん録画も抜かりなく。
第三話は佐々木蔵之介のエピ。
この佐々木蔵之介演じる精一がなかなかに嫌なヤツ。モラハラだし、自己中だし、家族に総スカン食らっても自分は悪くないと言い切るタイプ。そんな彼が定年退職(と同時に妻から離婚つきつけられ)を機に、例の里へ。
自分でも言ってるとおり、このホームタウンシステムをはなからバカにしてるので、現地に着いてもキャストの村人に絡んだり、目を皿にしてここでの暮らしのアラやほころびを探したり。
そんな精一が、それでも「母」に堕ちていくあたりはなんだか爽快でいっそ笑ってしまったよ。宮本信子すごい!(笑)
話はそれるけど、男の人(それも中高年)がこの母に堕ちるのはとてもわかり易い。母の圧倒的な存在感と、この村の素晴らしい情景、暮らし、母の語りや思いやり、そういうすべてがまさに、思い描くままのふるさとだから。
でも、だからこそ、松嶋菜々子演じる娘の、ちょっとドライで理知的で、でもちゃんと母と思いが通じあっているあの温度感、あれがわたしは一番好きだなあ。
で、「母」にどんどん傾倒していく精一は、ついにキャストと客の垣根を飛び越えて、ここで一緒に暮らしたいと言い出す。(リピーターし続けた果てに)
とまどう「母」。本気の息子。母の憂い顔にも気づかず、強引に話を進めだし…。
またまた話はそれるけど、このシステムの難しいところがここでもあらわに。
中井貴一も松嶋菜々子も佐々木蔵之介ですら、わきまえたちゃんとした客なのだ。もし、万が一、もっと傍若無人な客が現れたら?
金は払ってるんだからと無理な要求をつきつけるクズだっていないとは限らないのでは?(そこは抜かりなくメンインブラック的な人員が配されてるのかもしれないけど)
(↑なんでそんなことを思ったかというと、精一の振る舞いがまるでキャバ嬢に入れ込むやばい客のようで、そこからついついそんな思考に…(汗))
そんな精一と母のところに松嶋菜々子がひょいと訪ねてくる。客同士のバッティングじゃないの、ど、どうなるの?と視聴者もハラハラ・ドキドキ。このあたり、展開も巧み。
何より、岩手の風景が美しくて、曲り家が魅力的で、演者のすごさともあいまって、食い入るように後半の二話を見ました。
最終話は「母」の話。
これはもうあらすじ書かないけど、夢のようなこのおとぎ話の世界における、ほんとうの話。
中井貴一、松嶋菜々子、佐々木蔵之介が初めて一堂に会し、そしてそこにもう一人。(いや、二人かな?)(三人でもあるね)
とにかく、見てよかった、いいもの見た!と思わせてくれるドラマでした。
見逃した第一話と第二話序盤はオンデマンドで見れるとしても、録画できてない一話二話をぜひ録りたいので早急に再放送してもらいたい!(もちろん全話)(地上波でもBSでもいいので)
あと、母が語る昔語りが、文楽仕様だったりとか、おとぎ話のようなこの里がたびたびジオラマ遠景で映されるとか、とにかく細部にまで手間とこだわりが。